法華経関係

妙法蓮華経


妙法蓮華経一部8巻、鳩摩羅什訳。略して法華経という。

原名は、Saddharma- pundarika-sutra (サッダルマプンダリーカスートラ)。漢訳には、六訳三存といって6種類の訳出がなされたといわれるが、現在は鳩摩羅什訳『妙法蓮華経』、竺法護訳『正法華経』、闍那崛多・達磨笈多訳『添品妙法蓮華経』の3種類のみが伝わる。釈尊が晩年の8年間、入滅の直前まで説いた教え。いわば遺言の経典である。


 法華経の構成は、合計28の章立て(二十八品)より成り、これを内容から区分して、前半の14品を迹門、後半の14品を本門と呼んでいる。迹門の中心は第2の方便品、本門の中心は第16の如来寿量品。法華経が釈尊一代の説法の中でも最も優れた経典である所以は、「仏性」の普遍性(二乗作仏)と永遠性(久遠実成)というものを説いているためといわれる。それは、この宇宙にある一切の生命および非生命には、仏になることのできる素質・性質(仏性)がすべて平等に具わっており、この仏性は空間的に普遍であるばかりでなく、時間的にも不変であるという思想である。仏性の空間的普遍性を説いたのが法華経前半の迹門と呼ばれる部分であり、仏性の時間的永遠性を説いたのが法華経後半の本門と呼ばれる部分である。